いかなるヘルメットでも吸収できるエネルギーの大きさには限りがあるため、現実の事例では大きなエネルギーはかわすしかない。だから形状も衝撃をかわしやすい滑らかなフォルムと、強靭な帽体をアライは追求してきました。今までシールド取付け部はその開閉のために、わずかな段差を必要としてました。より衝撃をかわす性能を高めるため、実績あるスネル規格のテストラインを目安にシールド取付け部分を24mm下げて、ヘルメット側頭部をより滑らかなフォルムを実現させました。
シールドシステムの位置を下げるということは、本来開閉できない位置にシールド取付け部を下げるということになります。スーパーアドシスIタイプの回転軸となるポイントは1点ですが、一方、《VAS(ヴァス)》の回転軸は、ヘルメット上に仮想軸として存在します。シールドの開閉は仮想軸に基づいたピンレール軌道と、シールド取付け部を軌道するダブルピボット機能の2つの軌道の組み合わせにより可能にしました。この《VAS》により、シールドシステムの位置を下げつつ、シールドの開閉が可能になったのです。
主材料は、高価な材料でありアライが独占使用している繊維密度を高めた最新のスーパーファイバー。通常のグラスファイバーよりも、引張り強度・圧縮強度ともに40%も高い特殊グラスファイバーに、さらに改良を重ねた結果生まれた最新素材。繊維の太さ、後処理方法、樹脂との組み合わせ等、数多くのサンプルによる衝撃試験をくり返し、その表面加工の改良と、さらに繊維密度も高めることで剛性をアップ。複合素材として組み合わされる比重の軽い有機素材ARマット(内部素材)も、最新スーパーファイバーと密着性の高いものへと改良し、ネット構造で組上げるSNCとしての強度を高めている最強帽体。
さらに、F-1のバイザーパネルにも使われる有機系繊維の中で最高レベルの引張強度・弾性率の特殊繊維。樽の箍(たが)の様に用いるスーパーファイバー製ベルトなど、種々の素材を丹念に積み重ね成形。新たな樹脂を開発し、強靭ながらも軽量化を追求したのが、かわすための強固な帽体にバージョンアップした〈PB-SNCスクエア〉です。更なる「剛さ」「軽さ」「粘り」を実現した最強の次世代帽体へと進化した。
帽体裾部までまわりこむハイパーリブは、自動車のバンパーのような緩衝装置の役割を果たし、側面からの耐圧性能を向上させ、より帽体が強固になった。「外側のシェルは強固に、頭をじかに包む緩衝ライナーはより柔らかく」というヘルメットの理想に、アライはまた一歩近付いた。また、サイドエキゾーストとの一体化したフォルムは、首元の風の流れをスムーズにしている。